スパイクの選び方
グラブとともにプレーを支えている用具というより、攻撃・守備ともに野球をしている時に必ず使うのは、スパイクです。グラブのことはこだわるけどスパイク選びが安易になっていませんか?この足元が安定しているかどうかで、プレーに大きな影響が生まれることを感じて選んでいますか?
写真を追いながら、スパイクの種類や違いと、正しいスパイク選びをご紹介していきます。
(1)スパイクの種類
スパイクの種類は結構深いです。まず大きな違いに、【1】金属金具スパイク と 【2】ポイントスパイクがあります。
金属金具は、中学校から使用するようになります。少年野球では樹脂・ゴム製のスパイクです。ポイントスパイクと呼ばれます。
少年野球では金属金具ではなく安全性のことからポイントを使用します。金属金具のほうがポイントよりもグリップ力が増していきます。
大会や団体によって決められているスパイクを購入しましょう。少年はチームによってカラーが決められています。確認しておきましょう。
さらに、【1】の金属金具にも、大きく二つのタイプに分かれます。
最近多いのが、この【A】埋め込み式です。取り換え式に比べて金具のつなぎ部分がないため、スパイク全体を軽くすることが出来ます。
スパイクのねじれを考えても、つなぎが無いとスパイクがねじれ、より足の曲りに等しくなってきています。
一歩目の蹴り出しという面では大きく変わると思います。
それぞれメリットとデメリットがありますので、表を参考にしてください。
【A】埋め込み式
メリット | デメリット |
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【B】取り換え式
メリット | デメリット |
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比べると、【A】埋め込み式のメリットが多いことが分かります。
続きまして、アウトソール(裏底)の違いです。革で出来ている革底と、樹脂底のふたつです。
昔は革底が主流でしたが、プロ選手も樹脂底に変化しています。
樹脂底が軽くなったことが大きな要因ですが、選手生命を考えるプロ選手は、足のケガを考えます。樹脂底は、そのくらい足の負担が少ないです。また、雨に濡れても重くなることがないので、練習にも最適です。
もちろん足へのフィット面で言えば、革底がいいです。なじむということに関してはグランドの感触も感じれる程です。
【A】樹脂底
メリット | デメリット |
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【B】革底
メリット | デメリット |
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前書きが長くなりましたが、上の金具の種類(埋め込み式・取り換え式)と、ソールの種類(樹脂底・革底)は大きく関係しています。
基本としてこれだけ覚えておけばいいと思います。
【1】 ソールは樹脂底で、金具は埋め込み式のスパイク
【2】 ソールは革底で、金具が取り換え式のスパイク
の2種類がスパイクの主力です。ここで、今一度まとめてみましょう。
【1】 ソールは樹脂底で、金具は埋め込み式のスパイク
メリット | デメリット |
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【2】 ソールは革底で、金具が取り換え式のスパイク
メリット | デメリット |
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ついでに・・
みなさんが不安に思われているのは、埋め込みスパイクのすり減る寿命ではないでしょうか。
ミズノさんの埋め込み金具は‟超硬金具”と呼びますが、かなりすり減りにくくできています。弊社でも、高校生が1足でずっと使い続けても、先に本体が破れて修理に持ってきます。およそ、8~12か月後です。それまで金具が減らない実例があります。
取り換え金具だと、少なくとも1回は、裏金交換で修理するサイクルですね。ただ、例外があるんです・・・・
右は、金具の先端のアップ写真です。ミズノの超硬金具には先端に特殊加工が施されていて、これがカバーして歯が減ることがないんだと思います。
しかし、これが外れると歯はすり減ります。実は、すり減ったと言うお客さんに共通して歯が丸出しです。では、なぜそうなるのでしょう。
それは、スパイクの裏と裏を合わせて、パンッパンッと土を落とそうとする動作でした。
これは絶対してはいけません。土はブラシや金属ブラシなどで取りましょう。
金具と金具が当たると、先端カバーが取れてしまいます。そうすると、取り換え金具よりもすり減るのは早いです。気をつけましょう。
(2)足に合うスパイクとは?ピッタリで履く意味とは?”
声を大にして言いたいことがあります。スパイクに余分な隙間はいりません!あっても5mmまで。スパイクとはジャストフィットで履かなくてはいけないものなんです!
それと、保護者の方に朗報ですが、「またすぐ大きくなるから・・」
・・・これはむしろ逆です!
足に合うスパイクとは余分な余りが少ないスパイクです。そのメリットとは
【1】 ケガをしない
【2】 スピード・パワーが変化する
【3】 スパイクが傷まない
では、どうゆうことでしょうか。
1.シューズが正しい屈曲位置で曲がることが一番大事
まず第一に、人間の足底が曲がる部分は1箇所であり、足底の屈曲位置と同じ位置でシューズも曲がらないといけないということ。
スパイクの屈曲位置とは、基本的に足の幅が一番広い部分です。
ここでスパイクの役割ってなんでしょう?!・・・ひとつは、外部の衝撃から足を守ること。そうですね、裸足だったらケガだらけですね。
もうひとつは、パフォーマンスを最大限に発揮することです。走る、止まる、蹴る。プレーする時、スパイクを履いたほうがパワーが出ますよね。足の動きに合わせたスパイクを選ばないと足の曲がらない位置でスパイクが曲がろうとしてしまったり、足に余計な負荷がかかったりします。結果、いいパフォーマンスが出せなくなってしまいます。
さらに、その負荷は足首から膝、さらには腰。自分が気が付かないうちに負担を負い、ケガをするか、その部分を気にしてプレーするからパフォーマンスどころではありません。自分も膝や腰が悪いという方は、半分以上がスパイクを余らせて履いている人なんです。
2.必ず足が速くなる
足底の屈曲のお話は上でしましたが、ご想像されているように、足底の曲りとスパイクの屈曲位置が同じになると、スパイクの機能を有効に伝えることが出来ます。ひとつは、蹴りだしのパワー。裸足で走ることを考えれば、親指をはじめとする5本の指で地面をつかみ、蹴りだしますよね。走る際に必要なのは、つま先です。では、つま先に余りが1cmでもあればどうでしょう。自分が走っているつもりでも、余分につま先が地面に入りこみ、蹴りだす金具は1cmずれます。
もうひとつは、踏み出しが安定してきますので、次の着地がブレずに真っ直ぐになります。着地から蹴り出しまでの時間のロスがなくなるので足の力が地面に瞬時に伝わり、足は速くなります。
3.足が大きくなったときのことは考えない
どうしても足が成長してすぐ小さくなるのは避けたいです。身体の成長が著しい子供の足の伸びでも「半年で5mmも伸びない」といわれてます。ですから、スパイクを購入される際、最長5mm余裕があって、半年してやっとピッタリのサイズになるということです。スポーツショップで試し履きをして、指でつま先部分を押して、中敷きに当たるか、当たらないかという程度であれば約5mm余っていると考えて差し支えないです。大きめなスパイクを買って長く履き続けるという、経済的なことは大事だと思います。
しかし、足に合わないスパイクを履いて、ケガをしたり、間違った技術を覚えたり、実際のパワーが引き出せなかったり、伸びしろがある小学・中学生ならもったいないことです。
さらに、スパイクのつま先が余ることは、先端が余計に地面に擦れ、傷みが早くなります。ストッキングの親指が破れやすいのも同じです。
スパイクの中で足が前後するので破れるんです。破れるものですが、破れやすくなります。
試合用を考えるなら、出来るだけピッタリのサイズを選びます。そのほうが長く使うことにつながります。
(3)店頭でのスパイクの合わせ方
では、どうやって試し履きをするといいかを、写真を追ってご紹介します。
出来るだけ夕方以降の時間帯に、野球のストッキングを持ってスポーツショップに行ってください。夕方、足はむくむからです。
10人に1人左右同じ実寸の人がいるぐらいで、9割の方が足のサイズが左右違います。
5mm違うことは意外と普通のことです。
靴はカカトのホールド感がないと一体感はうまれません。よく、つま先に足をぴったりつけて、かかとの隙間に指が1本入るかと合わせられる保護者さんを目にします。これは逆です。
しかも指が1本入れば、確実に1cmは大きいですよ。
カカトを後ろにピッタリ合わせます。
ギュッと締める必要はありません。足の甲には血管が多く、それを締め付けることになり疲れやすくなります。
紐が折り返す程度に締めて、最後までいきます。
ちょうちょ結びをする手前まで、紐を十字に結ぶところまでこの状態です。
最後の十字結びだけきつめで締めます。
スパイクの先端(中指)のつま先5mm程度と、親指をグッと押してみます。
丁度いいサイズとは、適度に指の自由が利き、あまりきつ過ぎず、且つ緩すぎないことです。
つま先を手の指で押したときに、つま先のアッパー(表面)越しにスパイクの中の中敷きの感触があった場合、そのスパイクは「大きい」です。
サイズが合っている場合は、つま先5mm程度を手の指で押したら、途中で足の指先に当たり、中敷きまで到達する感触がありません。
必ず親指が先端に当たっていないかを繰り返し行いましょう。
きつくて痛みがあるようでしたら、ひとつサイズの大きいスパイクを履いてみます。
※このスパイクの履き方は、購入後もずっと同じです。脱ぐときは必ず靴紐をほどき、履くときはカカトから固定して、靴紐を結びます。カカトを固定するのはフィット感ももちろんですが、裏金の金具の突き上げポイントが丁度よくなり、なによりも、速く走るためには、プロもかならずしていることです。